河合隼雄『父親の力 母親の力』

 

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

河合氏は指摘する。日本型家族的経営の企業にどっぷり浸かり、上司や同僚と疑似家族を楽しんでいたサラリーマンは、よりドライな風潮に社会が変わるにつれて、家に帰り、家の中で家族関係を結ぶ必要が出て来た、と。一方、「かつては父権が存在した」というノスタルジーに対しては、それはただの美化された過去だと喝破する。かつても存在せず、今も存在しないが、未来には結ぶ必要のある“新約”の家族関係。